2023年1月15日
オペラ劇場

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昨夜に引き続き、”ニューイヤーバレエ”です。考えてみれば、最近、同じ公演を2回観る時って、奥村君が主役の古典しかなく、キャスト違いでガラ系の公演を観るなんて、ひさしぶりになかなかぜいたくなことをしてしまいました。定期的に収入がある状況のバレエファンの方は、観れる時に、キャスト違いで複数公演鑑賞というのをなるべくやっていたほうが、後々、心の財産となりますので、なんだか後ろめたさなんか感じずに精神への投資、栄養補給と思ってください。本日も、とても幸せな気持ちです~。

A Million Kiss to my skin
【振付】デヴィッド・ドウソン
【音楽】ヨハン・ゼバスティアン・バッハ

昨夜もかなりよかったこの演目ですけど、本日は、趣がかなり違って、さらによかったと思います。っていうか、今日のほうが個人的には好みかも~。昨日は、絢子ちゃんと唯ちゃんというダブルプリマが同じステージに立つという、この上なくゴージャスなパフォーマンを観ましたので、今日は、この二人がいなくて、どうかしらねと思ったりしたのです。ところがですね~、全体の感じ、面白さという点では、今日のほうが見ごたえあったように思います。昨日、弱かった男性ダンサーが、とてもとてもよかったのです。奥村君&速水君のレベルの高いバレエテクニックに見劣りすることのない森本君、よかったと思います。奥村君みたいけど、速水君もみたいと、オペラグラス右へ左へ動かしながら、森本君が邪魔してないのですよね。3人の男性ダンサーの責任の一端をしっかりになえていたと思います。この演目は、男性3人しか出ないから、みんながいいというのは、大事。そして、何がよかったといっても、奥村君と直塚さんペア。直塚さんって、新しく入られた方ですよね?前に観たことないです。ロシアのバレエ団にいたときいたので、様式美のおとなしいバレエの人かと思っていたのですが、この方、攻めのバレエですね。ぐいぐい迫ってくる感じ。たしかに、踊りようによっては、ちょっと挑発的にみえる振り付けですけど、わりと自分の主張をもって踊っている感じ。それも自己中心的でなく、奥村君というパートナーを意識した攻め。そして、奥村君が、がっつりその攻めに応えているのですよね~。唯ちゃんと踊っている時の対等感とはまた違った、相手を受け止めつつ、自らの表現にもつなげているというか。そして、ドラマチックなのです。この作品は、物語のないアブストラクトバレエなのでけど、パドドゥに情感が漂っているのです。中盤がなにか物語が流れているようで、ちょっとした切なさを感じたのですけど、後半は、喜びみたいなものがこぼれていて、このペアは、なんというか、ぶつかりあって、攻めたり受け止めたりしながら、作品をつむいでいるのだなと思いました。クラシックテイストのスピード感のあるコンテで、飛び跳ねる奥村君を観るのも嬉しかったし。なんで”シンフォニーインC”にキャスティングされないのよねと最初は、思いましたけど、どっちか選ばねばならないなら、こっちでよかったです。っていうか、どっちも出てほしかったけど。絢子ちゃんと唯ちゃんは、昨夜、2演目とも出たのですからね、驚異の体力ですけど。直塚さん、おもしろいダンサーですね。今後、どんな作品にキャスティングされるのかわかりませんが、また、奥村君と組んで刺激してほしいなと思いました。




眠れる森の美女 第3幕よりグラン・パ・ド・ドゥ
【振付】マリウス・プティパ
【音楽】ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
ヤスミンナグティ マシューボール

昨日に続きよかったです~。これぞ、ロイヤルペアだわという、英国のエレガンスを感じるパドドゥでした。マシューボールは、ロイヤル系の王子だなと見た目やバレエに感じるものがあります。年月と経験を重ねたら、ゆるぎない真の王子になれるのではないかな。ヤスミンナグディの盤石なテクニックと表現力もすばらしかったです。たびたび書いてしまいますが、こういう実力のあるペアを日本の”ロイヤルガラ”で見せないって、オヘアは出し惜しみしているとしか思えません。来年は、いよいよ”ロミジュリ”ですけど、もうここまで踊れるなら、”マノン”の全幕もってきて、このペアでみせてほしかったとつくづく思いました。



ドン・ジュアン(抜粋)
【振付】ジョン・ノイマイヤー
【音楽】クリストフ・ヴィリバルト・グルック、トマス・ルイス・デ・ビクトリア
アリーナコジョカル アレクサンドルトルーシュ

いわれてみれば、やはりトルーシュの力不足が目立ってしまったように思います。お隣の席のあまりバレエに詳しくなさそうな高齢のご婦人さえ、”男の人が、弱いって、はじめてみたわ”となかなか鋭いコメントを発していました。とりあえず、本日もコジョカルの名演をみれたことに感謝して、よしとします。



シンフォニーインC
【振付】ジョージ・バランシン
【音楽】ジョルジュ・ビゼー

本日は、一楽章のプリマだけがキャスト違いではないかと思います。考えてみれば、今日は、唯ちゃんは出演なかったのですね、残念。とはいえ、柴山さん、よかったと思います。個人的には、柴山さんがクラシック系の時って、好きな時とそうでない時とあり、どっちかというとコンテの時のほうが好きなのですけど、今日はよかったです。唯ちゃんとは違った趣でした。2楽章以降は、昨日とほぼ同じ印象です。あいかわらず、絢子ちゃんのプリマオーラが半端なく美しかったです。それにしても、この演目は、本当に忙しい振付です。NYCBの人たちが、20世紀の後半、マリンスキー劇場にツアーをした時のドキュメンタリーを観たことがありますが、マリンスキーのダンサーは、あんなに早くステップを踏めないとか言ってました。奥田さんや吉田さんは、当初このパートにはキャスティングされてなかったのに、本当、よくこなしていました。改めて、じっくりみてみると、覚えるだけでカウントとるだけで大変すぎ。これを音楽にあわせて、ぴったりきめるなんて、鬼振り付けです。そして、この演目の構成って、すごい。各楽章がひととり終わってから、フィナーレへ向かうまでに、圧巻のバレエが、めくるめく勢いで繰り広げられます。お隣の高齢のご婦人、たぶん、初めてみたのだと思うのですけど、なんだか圧倒されたみたいに高揚して喜びがわいてくるのを横にいても感じました。って、わたしも同じく、終盤に向かうにつれて、高揚感ましてましたものね。好きだわ、”シンフォニーインC”。難しい演目だとは思いますが、期間をあけずに、再演してほしいです。プリンシパルペア4組は、2グループくらい用意して、たくさんの人にチャンスをあげてほしいです。そうだ、”Million Kiss”も同じく早期再演お願いします。今度は、プログラムが重ならないほうがよいかもです。ファンとしてはうれしかったけれど、両方とも大変すぎて、けが人続出はよくないですからね。

年初から、楽しい~公演でした。バレエを観る喜びを感じる演目であったと思います。ゲストもよかったし、急遽抜擢されたダンサーも、もともとキャスティングされていたダンサーも皆、ハイレベルなしがりでした。キャスト交代で急に抜擢された方々の実力に触れられたこともよかったです。年末、くるみから間もなく、お疲れの時のハード演目、大変だったかと思います。”コッペリア”までに体力持ち直して、がんばってください。(たぶん、わたしは、”コッペリア”はパス)